ウィットウオーターズランド(その他表記)Witwatersrand

デジタル大辞泉 の解説

ウィットウオーターズランド(Witwatersrand)

ウィトワーテルスランド

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改訂新版 世界大百科事典 の解説

ウィットウォーターズランド
Witwatersrand

南アフリカ共和国内にある世界最大の産金地帯で,現在のヨハネスバーグを中心とする面積約3100km2の地域。通称ラントRandと呼ばれる。1886年同地方で金鉱が発見されると,トランスバール政府は同地域を国有化し,貸区制をとって採掘者に貸与した。初期の採掘は無数の企業家によって行われ,セシル・ローズも87年,資本金12万5000ポンドで南アフリカ金鉱会社を設立した。89年642企業のうち約半数の315社はロンドンに事務所を置き,イギリス資本が圧倒的であった。91年の金融恐慌により資本の集中化が進み,同年141社に激減した。鉱山労働はおもに周辺のアフリカ諸国のアフリカ人が雇用されたが,労働供給の組織化と労働力調達費の削減のため,1889年鉱業会議所がつくられた。その結果労働者数は90年の1万4000人から99年には9万7000人に増大し,金産出額も1887年の8万1000ポンドから94年には695万9000ポンドに急増した。1899-1902年のボーア戦争はJ.A.ホブソンが糾弾したように産金地帯の領有を目ざすイギリスの経済的帝国主義が原因であったが,戦後労働力不足を補うため一時期中国人契約労働者を導入した。第1次大戦後金鉱業関連産業として製造工業もこの地域に発展し,現在は南ア共和国最大の工業地帯となり,同時に,金鉱業はアングロ・アメリカン社をはじめとするイギリス系およびボーア系の金鉱会社が支配し,全世界の約23%の金を産出し世界第1位となっている。
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この地域に広がる先カンブリア時代のウィットウォーターズランド系の粘板岩・ケイ岩・レキ岩層中には数層の含金レキ岩層が知られており,多数の鉱山が稼行している。鉱石は,石英,ケイ岩等の小礫(れき)の間を石英,黄鉄鉱歴青ウラン鉱,自然金が埋めているもので,金のほかにこのウランを対象に,あるいは金の副産物として採取している鉱山もある。この地域の鉱山はいずれも深度が大きく,地表下4000mにも達しているものもあり,こうした所では,大きな地圧と高温の下での作業を強いられることになる。
執筆者:

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百科事典マイペディア の解説

ウィットウォーターズランド

南アフリカ共和国北東部の高原標高1500〜1800m)にあるヨハネスバーグを中心とする金鉱地帯。1886年に金鉱が発見され,アフリカ人を労働者としてオランダ系白人やセシル・ローズの南アフリカ会社による本格的採掘が開始された。この金鉱はやがてボーア戦争引金となる。採掘地域は当初ヨハネスバーグを中心に東西90km,南北10〜30kmであったが,1932年以後東西200km以上に拡張。1941年を頂点に産金量の低下をみたが,1952年以後金鉱石からウランの抽出を行っている。
→関連項目トランスバール

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ウィットウォーターズランド
Witwatersrand

南アフリカ共和国北部,ハウテン州の州都ヨハネスブルクを中心とする産金地帯。1886年初めて金鉱を発見。金を含有するウィットウォーターズランド系は先カンブリア時代に属し,大きな向斜構造をなして南北約 72km,東西約 190km,7層の含金礫岩層がある。この金鉱床をリーフ reefという。標高 1500~1800mの高原地帯であるが,稼行深度は地表から 200~3500mである。1930年代になり金鉱床中にウランの鉱石であるピッチブレンドが存在することがわかり,金製錬の廃石がウラン鉱石として再処理され,U3O8イエローケーキが生産されている。中心都市ヨハネスブルクの周辺は重工業地帯となっている。

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世界大百科事典(旧版)内のウィットウオーターズランドの言及

【トランスバール共和国】より

…ボーア人は一致して反対し,ロンドンに代表を派遣して独立の回復をはかったが拒絶され,80年武装蜂起し(第1次ボーア戦争),81年2月マジュバの戦でイギリス軍を破り,独立を回復した。86年同国のウィットウォーターズランドで金の大富鉱が発見されると,イギリスは直ちに同国の併合を企てた。当時ケープ植民地首相であったC.ローズは,トランスバールのイギリス系白人(アフリカーンス語でアイトランダースと呼ばれた)を保護するという名目で,95年友人のジェームソンとその部下の軍隊を派遣したが失敗に終わり,ローズは責任をとって政界から引退した(ジェームソン侵入事件)。…

※「ウィットウオーターズランド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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