中間圏(読み)チュウカンケン(その他表記)mesosphere

翻訳|mesosphere

デジタル大辞泉 「中間圏」の意味・読み・例文・類語

ちゅうかん‐けん【中間圏】

大気圏区分の一。成層圏熱圏との間を占め、高度約50キロから90キロまでの大気層。気温は高さとともに下降する。
[類語]大気圏対流圏成層圏熱圏電離圏電離層外気圏

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精選版 日本国語大辞典 「中間圏」の意味・読み・例文・類語

ちゅうかん‐けん【中間圏】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 大気層を分類したとき、成層圏の上、熱圏の下の部分、あるいは電離層と外圏との間の部分。
  3. マントル別名

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改訂新版 世界大百科事典 「中間圏」の意味・わかりやすい解説

中間圏 (ちゅうかんけん)
mesosphere

大気の鉛直構造を気温分布にしたがって区分するとき,高度50kmから90kmにかけて高度の上昇につれて気温が下がっている部分を中間圏という。気温は高度50kmで約0℃で,高度90kmでは氷点下約80℃である。高度85~90kmの領域中間圏界面mesopausと呼ばれ,上層大気のなかで最も低温である。気圧は高度50kmから90kmにかけて0.8hPa(0.6Torr)から0.002hPa(0.0015Torr)に減る。中間圏の気温は,大規模波動による大気下方からの熱輸送が冬に活発となるため,夏より冬の方が高い。高緯度地帯の夏には,中間圏界面の気温は氷点下130℃以下になることもあり,このため夜光雲と呼ばれる薄い雲が現れることもある。中間圏の上部から中間圏界面にまたがる部分は,電離圏の最下部であるD領域にあたり,太陽紫外放射の解離作用や電離作用によって原子や活性分子およびイオンがつくられ,これらの間で活発な化学反応が起こっている。その結果は大気光と呼ばれる発光として観測され,また電離状態が存在していることは電波反射・吸収によって確かめることができる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中間圏」の意味・わかりやすい解説

中間圏
ちゅうかんけん
mesosphere

大気を鉛直に区分したとき、高度48キロメートルから80キロメートルの範囲を中間圏とよぶ。中間圏の下には成層圏、上には熱圏が存在する。中間圏の気温は、下端成層圏界面でもっとも高く約0℃、高さとともにほぼ直線的に下降し、上端の中間圏界面で零下90℃になる。気温が高さとともに減少するが、水蒸気凝結がないので鉛直運動に対して安定であり、対流は生じない。しかし、下方から伝播(でんぱ)してくる内部重力波砕波によって乱流を生じ、上下混合が行われている。中間圏上部では、季節に逆行して冬に気温が高く、夏に気温が低い。夏季には夜光雲が生じる。

松野太郎

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中間圏」の意味・わかりやすい解説

中間圏
ちゅうかんけん
mesosphere

成層圏の上,熱圏の下にある大気層。地表からの高さ 50~80kmにわたり,大気温度は低部で絶対温度 270Kくらいから,上部で 200Kくらいまでで,高度が上がるにつれて低下していく。その理由は,太陽からの放射線のうち,X線に近い超紫外線は上方の熱圏で吸収されてしまい,波長の長い紫外線は空気の濃い下方の成層圏で吸収され,オゾンの生成も成層圏で多く中間圏では少ないなど,この層での加熱が少ないためである。中間圏を通じて,大気の組成は海面上とほぼ同じ比率を保ち(重い気体と軽い気体の拡散分離は起こっておらず),気圧および密度が海面上の値に比べ,高度 50kmで,それぞれ 1300分の1および 1200分の1,高度 80kmで 10万分の1および 6万6000分の1に低減する。

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百科事典マイペディア 「中間圏」の意味・わかりやすい解説

中間圏【ちゅうかんけん】

メソスフェアとも。高度ほぼ50〜90km間の大気の層。それより下の成層圏では高度とともに気温が上昇するが,中間圏に入ると高度とともに気温は下降し,高度50kmでは約0℃だが,90kmでは−80℃ほどになる。高度85〜90kmの領域を中間圏界面といい,中間圏の上部から中間圏界面にまたがる部分は電離圏のD領域にあたる。
→関連項目成層圏超高層大気

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世界大百科事典(旧版)内の中間圏の言及

【大気】より

…安定な成層で水蒸気が少ないので天気現象は現れないが,冬の高緯度地方の上空20~30kmに真珠母雲が見られることがある。(3)中間圏mesosphere 成層圏界面の上空では,温度はふたたび高度の増加につれて下がる。最も低くなるのは高度約80kmの約180Kで,ここが中間圏界面(中間止面)mesopauseである。…

【大気】より

…乾燥空気には地面からの高さによらず組成比がほとんど変わらないものと,場所や時間により変化するものとがある。組成比の変わらないのは窒素,酸素などで,それらの成分比は中間圏界面の高度約85km付近まで不変であることがロケット観測などにより確かめられている。中間圏界面をこすと光解離のためにO2が多量のOに変換され,110km付近から上空では分子拡散作用のために重い分子と軽い分子の分離が起こるので,平均分子量は上空にゆくほど減少し,地表付近とは違った組成比になる。…

【大気大循環】より

…対流圏と異なり,成層圏では大気が安定で,上下の混合は不活発である。成層圏の上約80kmまでは中間圏で,気温がふたたび上層ほど低くなっている。中間圏の上は熱圏といわれ,気温は上層ほど高くなる。…

※「中間圏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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