改訂新版 世界大百科事典 「バンジェルマシン」の意味・わかりやすい解説
バンジェルマシン
Banjermasin
インドネシア,ボルネオ島南部の都市。南カリマンタン州の州都。人口56万7345(2003)。ボルネオ最大のバリト川の支流マルタプラ川に臨み,バリト河口から38kmの地点にある。マルタプラ川は外洋船の航行が可能で,かつバリト川全流域の物資の集散をなしうる有利な位置を占める。古くからインド文化が流入したらしく,また東部ジャワに近いため歴史的に関係が密接であった。この地方の住民バンジェル人も,マレー人とジャワ人との混血といわれる。早くから一つの独立国を形成していたらしいが,14世紀にジャワのマジャパイト王国に服属し,16世紀にはそれに代わったデマック王国に支配された。オランダ人の居住は1711年に始まり,19世紀初頭のイギリス支配時代にはこの地方開拓のため3000~4000人のジャワ人が強制移住させられたこともある。王国内部はその後内紛が続き,1876年に完全にオランダ領とされた。周辺地域はボルネオで最もよく開けた所で道路網も整備され,米,ゴム,石炭,林産物などの集散が盛んである。空港もあり,ジャカルタから1時間余で連絡できる。第2次大戦後,国立ランブン・マン・クーラット大学が設置された。
執筆者:別技 篤彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報