バートカンデ(その他表記)Viṣṇu Nārāyaṇ Bhātkhaṇḍe

改訂新版 世界大百科事典 「バートカンデ」の意味・わかりやすい解説

バートカンデ
Viṣṇu Nārāyaṇ Bhātkhaṇḍe
生没年:1860-1936

北インドの音楽学者。音楽学の研究を目ざし,文献研究の基本であるサンスクリット書物を学習することから始めた。1904年よりインド各地に旅行し,音楽家たちから多数のラーガを採集した。これらの資料と古典の知識とを集大成し,現実に適応する10のタート音階)を基本とする新しい理論体系を生み出した。これは《音組織体系の研究A Comparative Study of Some of the Leading Music Systems of the 15th,16th,17th & 18th Centuries》(1941)などにまとめられている。後にインド音楽協会を設立し,またラクナウには音楽大学を創設し,伝統音楽を推進する多くの人材を育てている。
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百科事典マイペディア 「バートカンデ」の意味・わかりやすい解説

バートカンデ

北インドの音楽学者。サンスクリット文献の徹底的な研究,さまざまなガラーナー(一種流派)の音楽実践の調査,自ら考案した記譜法による採譜出版を通して,10の基本音階(タート)に分類する独自のラーガ分類法を確立,《ヒンドゥスターニー音楽体系》ほかを著し,混乱していた北インド古典音楽理論を整備した。彼の提唱により,1916年には第1回全インド会議開催。ラクナウのマリス音楽院(1926年設立,現バートカンデ音楽院)やガーンダルワ音楽院の設立にも尽力し,これらは今でも古典音楽の高等教育の中心となっている。

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