パルドバサン(英語表記)Emilia Pardo Bazán

改訂新版 世界大百科事典 「パルドバサン」の意味・わかりやすい解説

パルド・バサン
Emilia Pardo Bazán
生没年:1851-1921

スペイン女流作家貴族で,旺盛な知識欲と語学力をもち自然主義をはじめ象徴主義,モダニズム,トルストイやドストエフスキーロシア文学まで,諸外国の文学動向を鋭敏にとり入れてスペインに普及させたが,本質は保守的なキリスト教作家である。評論《今日的問題》(1883)でゾラの小説理論を紹介し,これを実践した《ウリョーアの館》(1886)は,変動期の社会を背景に田舎貴族の退廃を描いた,彼女の代表作。40年余の文筆活動に加え,女性で初めて大学正教授になったことも名声に寄与した。ほかに《母なる自然》《日照》《黒い人魚》等の作品がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パルドバサン」の意味・わかりやすい解説

パルド・バサン
Pardo Bazán, Emilia

[生]1852.9.16. ラコルニャ
[没]1921.5.12. マドリード
スペインの小説家批評家エミールゾラを論じた『焦眉の問題』La cuestión palpitante(1883)などの評論を通じて,フランス自然主義をスペインに移入した。1916年,マドリード大学教授に就任した。当時女性としては異例のことであった。代表作『ウリョアの館』Los Pazos de Ulloa(1886),『母なる自然』La madre naturaleza(1887)。

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