日本大百科全書(ニッポニカ) 「パワーステアリング」の意味・わかりやすい解説
パワーステアリング
ぱわーすてありんぐ
power steering
倍力装置(サーボ)付きの操向装置。運転者がステアリングホイール(ハンドル)を回す力をほかの力で補う省力装置の一つである。かつては大型乗用車や大型トラック、バスなどにのみ備えられていたが、1960年代に前輪荷重の大きい前輪駆動が普及してからは、小型大衆車にも装備されるようになった。エンジンで油圧ポンプを駆動して、リザーバーに油圧を蓄えておき、ステアリングシャフトが回されると、その先についた油圧バルブを開き、ピストンで前輪を操向する力を助ける。ステアリングを適度に軽くしつつ、路面感覚を適度に残したものが優れたパワーステアリングで、その程度については各メーカーの技術者が苦心している。最近では、駐車時や低速ではパワーの効きが強く、高速では安全性のために効きが弱くなる(重くなる)速度感応式のパワーステアリングも珍しくない。
[高島鎮雄]