パンの笛(読み)ぱんのふえ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パンの笛」の意味・わかりやすい解説

パンの笛
ぱんのふえ

古代ギリシアの気鳴楽器ギリシア神話に登場するニンフ妖精(ようせい))の名をとってシリンクスsyrinxとよばれていた。植物の茎など同長の管を7、8本筏(いかだ)形に組んだもので、音高は詰め物で調節したものと思われる。この種の楽器ヨーロッパをはじめ世界各地に存在し、パンパイプと総称されている。

[柴田典子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パンの笛」の意味・わかりやすい解説

パンの笛
パンのふえ
panpipes

「シリンクス」「パンパイプ」とも呼ばれる。原始的な管楽器で,長さの異なる数本の笛を並列して束ねたもの。ギリシア神話のシリンクス伝説で,牧神パンが創作したといわれる。古代中国,古代ギリシア,小アジアなどで使われはじめ,中国では排簫 (はいしょう) と呼ばれていた。メラネシアアフリカペルーボリビアなどでもみられる。ヨーロッパでは牧羊者の間で使われ,特にピレネー地方で用いられているが,ルーマニアでは 19~22のパイプを3オクターブに調律したナイというパンパイプが,独立した楽器として演奏される。

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