日本大百科全書(ニッポニカ) 「パーラル」の意味・わかりやすい解説
パーラル
ぱーらる
Vladimír Páral
(1932― )
チェコの小説家。第二次世界大戦後のチェコをテーマに短編集、長編小説を次々と発表している多作な作家で、かつての西側社会でもその作品が読まれていた数少ない作家の一人。プラハで生まれ、化学を専攻、いくつかの工場で働いたのち、1969年から職業作家。化学工場を舞台に社会主義を強制された社会の変化、技術の進歩にゆがめられた世界を描き、大胆なセックス描写や、読みやすい文体で人気を博しているが、やや繰り返しが多く乱作ぎみといえよう。初期の代表作として、中編『満たされた願望の見本市』(1964)、『カタパルト』(1967)、長編『恋人たちと殺人者たち』(1969)、『若い男と白い鯨』(1973)などがあるが、その後、SF的要素をもつ『女たちの国』(1989)、また現代モラルの悲喜劇的様相を描いた『デカメロン2000』(1990)『プレイガールズⅠ』(1994)などを発表した。
[千野栄一]