ヒッポナクス(読み)ひっぽなくす(英語表記)Hipponax

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒッポナクス」の意味・わかりやすい解説

ヒッポナクス
ひっぽなくす
Hipponax

生没年不詳。紀元前6世紀後半のギリシア詩人。エペソスに生まれたが、時の僭主(せんしゅ)たちによって追放された。その後、クラゾメナイで極貧の生活を送ったようである。コリアンボス(跛行(はこう)イアンボス)の韻律を用いて、敵に対する中傷誹謗(ひぼう)をほしいままにした。残っている詩はわずかな断片のみで、全体的イメージはとらえがたい。彫刻家ブパロスを攻撃して死に至らしめた話は有名。ヘレニズム期の詩人とくにヘロンダスの詩に大きい影響を与えた。

[橋本隆夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒッポナクス」の意味・わかりやすい解説

ヒッポナクス
Hippōnax

前 540年頃活躍したギリシアのイアンボス詩人。エペソスに生れ,追放されてクラゾメナイに移住。いわゆる跛行イアンボス (スカゾンとも呼ぶ) を用いて,風刺機知の詩を作った。伝説によれば,2人の彫刻家が彼を戯画化した彫像を作って彼の風刺詩の攻撃を受け,絶望のあまり自殺したという。作品はわずかな断片のみ現存

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