化学辞典 第2版 の解説
ヒドロキシアンモニウム塩
ヒドロキシアンモニウムエン
hydroxyammonium salt
NH2OH + H2O HONH3+ + OH-(Kb6.6×10-9)
のように解離し,酸と塩をつくる.【Ⅰ】塩化ヒドロキシアンモニウム(または塩化ヒドロキシアミニウム):NH3OHCl(69.49).硫酸ヒドロキシアンモニウム水溶液にBaCl2を加え,濾過すると得られる.無色の単斜晶系結晶.NH3OH+(N中心の四面体型)が存在する.N-O約1.45 Å,N-Cl約3.16~3.19 Å.融点151 ℃(分解).水,液体アンモニアに易溶,メタノールやエタノールに可溶,ベンゼンやエーテルに不溶.強い還元剤である.[CAS 5470-11-1]【Ⅱ】硫酸ヒドロキシアンモニウム:(NH3OH)2SO4(164.14).工業的には,NH4NO2,(NH4)2SO3,SO2を反応させた後に加水分解してつくる.実験室では,ニトロメタンと発煙硫酸との反応でつくる.単斜晶系のイオン結晶.NH3OH+を含む.水に易溶,エタノールに難溶.水溶液は強い酸性を示す.強い還元性があり,還元剤(写真,分析,合成など),脂肪酸やせっけんの酸化防止剤,酵素の再活性化剤,皮革の脱毛剤などに用いられる.毒性がある.[CAS 10039-54-0]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報