毛を腐食して除去する薬剤で、主として美容のために用いられる。そのほか手術前の脱毛や、経皮吸収の実験のための動物の脱毛などの用途がある。脱毛には、化学反応によって毛髪の成分であるアミノ酸のシステイン結合を切断する化学的脱毛と、粘着性テープを皮膚にぴったりと張り付けたのち、そのテープをはがして脱毛する物理的脱毛とがある。化学的脱毛は、アルカリ剤、還元剤により毛の成分のS‐S結合を切断し、ふき取ることによって皮膚上から脱毛する。チオグリコール酸カルシウムを成分とするものが多く市販されている。そのほか硫化ストロンチウム、亜硫酸バリウムが使用されるが、バリウム塩は毒性が大きく、最近はあまり用いられない。脱毛クリームといってクリーム型脱毛剤が使われているが、ローション、パウダータイプのものもある。チオグリコール酸塩の反応加速剤としてチオ尿素、メタケイ酸ソーダなどが配合される。脱毛クリームは医薬部外品で、「エバクレームS」にはチオグリコール酸カルシウム、セタノール、プロピレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムが含まれている。
[幸保文治]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…手足や腋(わき)の下のむだ毛を除いて美しくすること。脱毛剤が一般化するまでは,かみそりでそっていた。脱毛には加熱溶融したワックスを塗り,固化したのち,はがすと同時に物理的に脱毛する方法と,チオグリコール酸カルシウムが,強アルカリ(pH9~12)のもとでは毛の主成分であるケラチンを還元し,溶解するという作用を利用した化学的脱毛方法とがある。…
※「脱毛剤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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