日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒメヤシ」の意味・わかりやすい解説
ヒメヤシ
ひめやし
[学] Lytocaryum weddellianum (H.Wendl.) Toledo
Microcoelum weddelianum H.E.Moore,Jr.
Cocos eleganlissima hort.
ヤシ科(APG分類:ヤシ科)ココヤシ亜科のヤシ。名は、全体が小形であることによる。ブラジル南部原産。そのためブラジルヒメヤシの名もある。幹は単一で直立し、高さ1.3~2メートル、径3センチメートル。幹肌は褐色の垢(あか)状で、繊網と葉鞘(ようしょう)が長期間固着後脱落し、波状の環紋が残る。羽状葉は濃緑色で裏面は灰緑色、長さ90センチメートル、葉柄は横断面が三角形で長さ30センチメートル、幅5ミリメートル、中軸と葉柄は細長く、垢状の鱗片(りんぺん)で覆われる。羽片は50対で葉並びは平面的に整列し、薄肉で長さ25センチメートル、先端は7センチメートル、幅0.6~1センチメートル。包葉は細長く、長さ1メートル。雌雄同株で単性花をつける。肉穂花序は黄白色、長さ1.3メートルで、花柄は長い。雄花は1センチメートル、雄しべは長さ0.7センチメートル、中央に不稔(ふねん)の雌しべがある。雌花は黄白色、三角状で長さ1.2センチメートル。果実は橙(だいだい)色、先がとがった球形または楕円(だえん)形で、長さ1.2~1.5センチメートル。繁殖は実生(みしょう)により、容易に発芽し、鉢植えにもする。栽培温度は5℃以上であるが、高温すぎるのはよくない。
[佐竹利彦 2019年5月21日]