ヒ酸ナトリウム(読み)ヒサンナトリウム

化学辞典 第2版 「ヒ酸ナトリウム」の解説

ヒ酸ナトリウム
ヒサンナトリウム
sodium arsenate

中性塩Na3AsO4のほかに,酸性塩Na2HAsO4,NaH2AsO4があり,縮合型塩も知られている.【】Na3AsO4(207.89).As2O3をNaOH水溶液に溶かし,計算量のNaNO3を加え,乾こ後精製すると得られる.十および十二水和物がある.いずれも無色の斜方晶系結晶.風解性がある.結晶を加熱すると,いずれも約85 ℃ で結晶が壊れ,水溶液になる.AsO4は,正四面体型構造.As-O約1.7 Å.水に易溶.水溶液は強アルカリ性を示す.木材防腐剤,除草剤,医薬品,殺虫剤,乾式染料,化学合成の中間体などに用いられる.[CAS 13464-38-5]【】Na2HAsO4(185.91).H3AsO4水溶液に過剰のNa2CO3を加え,加熱濃縮すると七水和物が得られ,これを100 ℃ で脱水すると無水物が得られる.七水和物は単斜晶系で,結晶内でNa原子は,2個のNa(H2O)6が面の3個のO原子を共有して結合した二量体単位が,互いに稜の2個のO原子共有でつながったジグザグ鎖を形成している.このO原子に,正四面体型のAsO3(OH)のH原子が水素結合している.As-O約1.7 Å.室温では安定である.水に可溶(水溶液はアルカリ性),アルコール類に微溶.七水和物は,50 ℃ で5分子の結晶水を失い,100 ℃ で無水物になり,さらに高温では縮合体になる.[CAS 7778-43-0]【】NaH2AsO4(163.92).H3AsO4と計算量のNaOHとの反応などで得られる.一水和物は,無色の斜方晶系結晶.約100 ℃ で結晶水を失い,230 ℃ 以上ではNaAsO3になる.【】縮合塩は,相当するリン酸塩よりずっと不安定で,水ですみやかに加水分解し,水溶液中に溶存できない.Na2HAsO4,NaH2AsO4などの加熱縮合で得られる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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