砒酸鉛(読み)ヒサンナマリ

デジタル大辞泉 「砒酸鉛」の意味・読み・例文・類語

ひさん‐なまり【×砒酸鉛】

砒酸の鉛塩。オルト砒酸鉛Pb3(AsO42・メタ砒酸鉛Pb(AsO32・ピロ砒酸鉛Pb2As2O7ほか、砒酸水素鉛PbHAsO4と砒酸二水素鉛Pb(H2AsO4)があり、いずれも無色粉末ないし結晶で水に溶けにくく、きわめて毒性が強い。かつてはふつう砒酸水素鉛をさし、農業用殺虫剤として用いられた。

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精選版 日本国語大辞典 「砒酸鉛」の意味・読み・例文・類語

ひさん‐なまり【砒酸鉛】

  1. 〘 名詞 〙 砒酸の鉛塩の総称。きわめて水に溶けにくい黄白色の粉末ないし結晶で毒性が強い。かつては砒酸水素鉛をさし、農業用殺虫剤として使用されたが、作物への残留度が高いため、使用が禁止されている。ひさんえん。

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化学辞典 第2版 「砒酸鉛」の解説

ヒ酸鉛
ヒサンナマリ
lead arsenate

正塩は,Pb3(AsO4)2であるが,市販品で通称ヒ酸鉛とよばれるのは,普通,酸性塩のヒ酸水素鉛PbHAsO4である.このほかに,ヒ酸二水素鉛,メタヒ酸鉛,二ヒ酸鉛がある.【】ヒ酸鉛:Pb3(AsO4)2(899.4).PbO2とAs2O5とを,るつぼ中で加熱すると得られる.単斜晶系結晶.正四面体型のAsO4とPbが,それぞれ層をつくり,2:3の割合で重なっている.純粋なら無色.密度7.30 g cm-3.As-O1.64~1.73 Å.融点1042 ℃.水に難溶.濃硝酸には分解して溶ける.有毒.[CAS 3687-31-8]【】ヒ酸水素鉛:PbHAsO4(347.1).天然にschulteniteとして産出する.Na3AsO4水溶液に過剰のPb(NO3)2を加えて反応させると得られる.単斜晶系板状結晶.密度8.94 g cm-3.約280 ℃ で二ヒ酸鉛になる.水に不溶,硝酸や水酸化アルカリ水溶液に可溶.有毒.農薬など,殺虫剤の成分として利用される.[CAS 7784-40-9]【】その他:ヒ酸二水素鉛;Pb(H2AsO4)2(489.1).三斜晶系.密度4.46 g cm-3.メタヒ酸鉛;Pb(AsO3)2(453.03).六方晶系.密度6.42 g cm-3.二ヒ酸鉛;Pb2As2O7(676.24).ピロヒ酸鉛ともいう.斜方晶系.密度6.85 g cm-3.酸に可溶.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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