日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビスコチル」の意味・わかりやすい解説
ビスコチル
びすこちる
Ivan Vyskočil
(1929― )
チェコの俳優で短編作家。プラハ生まれ。演劇と心理学・教育学の2分野を学び、一時教師として大学に戻ったが、以後俳優として働き、同時に短編を書き始めた。代表作にはSF的短編集『とはいえ飛ぶのは易(やさ)しい』(1964)がある。言語、作品、舞台で多くの実験的な試みを実践してきた演劇人で、1958~62年には「ナ・ザーブラドリー」劇場の設立に協力、60年代には「悲劇場」を主宰した。社会主義時代に当時のノボトニー大統領を揶揄(やゆ)した『ウービツェへの旅』などの戯曲がある。「ビロード革命」(1989年の共産党政権崩壊)後、ふたたび演劇の指導にあたっている。
[千野栄一]