改訂新版 世界大百科事典 「ビタース」の意味・わかりやすい解説
ビタース
bitters
苦味剤の意で,苦みと芳香をもつリキュールの一種。ビターと単数形で呼ぶことも多い。最もよく使われるのはアンゴスチュラビターとオレンジビターで,ともにカクテルなどの香味づけに用いられる。アンゴスチュラビターは,ベネズエラなどの独立戦争のさい解放軍の軍医であったJ.G.B.シーガートが健胃剤として研究,1828年オリノコ河畔のアンゴスチュラAngostura(現シウダド・ボリバル)で完成したためこの名がある。その処方は明らかにされていないが,ラム酒にリンドウ根その他の植物エキスを配合したもので,アルコール分約45%。オレンジビターはスペイン産のビターオレンジの果皮エキスを主成分とするもので,アルコール分24~30%である。いずれも口の細いビターボトルに入れ,カクテルやストレートのジンに数滴滴下して用いる。
執筆者:大塚 謙一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報