建物の上。通常、屋根を水平につくり、あるいは屋根の上に水平な台をつくって物見、物干し、運動などに使えるようにした場所。屋根を水平につくる例は、オリエントやエジプトのように雨量の少ない地域にみられ、屋上を利用した例としてバビロンの空中庭園が知られている。積極的に屋上を使うようになったのは城郭建築で、中世のヨーロッパ建築に大きな影響を及ぼしている。近代には、防水技術の発達から水平な陸(ろく)屋根が広まり、日本でも大正ごろから事務所、学校、病院、集合住宅など多くの建物で陸屋根が普通になった。これらの屋上は、都市部では敷地が狭く運動のための場所がとれないので、休憩用に使われるだけでなく、体操や球技などの場所として使われることも多い。傾斜のある屋根に水平な台をつくる例には、日本では江戸時代の武家屋敷や町屋の棟(むね)の上につくられた火の見用の台、町屋の物干しや夕涼みの台などがある。
[平井 聖]
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