屋上(読み)オクジョウ

精選版 日本国語大辞典 「屋上」の意味・読み・例文・類語

おく‐じょうヲクジャウ【屋上】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「おくしょう」 )
  2. 屋根の上。
    1. [初出の実例]「明々としてなほ在り 誰か月の光を屋上に追はむ〈紀長谷雄〉」(出典:和漢朗詠集(1018頃)上)
    2. [その他の文献]〔楚辞‐九歌・湘君〕
  3. 建物で、上の階。階上。
    1. [初出の実例]「池中棹舶哥方発。屋上読書思更深」(出典本朝無題詩(1162‐64頃)三・月下言志〈藤原季綱〉)
  4. ビルなどの屋根にあたる所につくった、人の出られる平らな所。
    1. [初出の実例]「五層楼の屋上に此の小楽園を設くる事を忘れなかった経営者に」(出典:丸善と三越(1920)〈寺田寅彦〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「屋上」の意味・わかりやすい解説

屋上
おくじょう

建物の上。通常、屋根を水平につくり、あるいは屋根の上に水平な台をつくって物見物干し、運動などに使えるようにした場所。屋根を水平につくる例は、オリエントエジプトのように雨量の少ない地域にみられ、屋上を利用した例としてバビロン空中庭園が知られている。積極的に屋上を使うようになったのは城郭建築で、中世のヨーロッパ建築に大きな影響を及ぼしている。近代には、防水技術の発達から水平な陸(ろく)屋根が広まり、日本でも大正ごろから事務所、学校、病院、集合住宅など多くの建物で陸屋根が普通になった。これらの屋上は、都市部では敷地が狭く運動のための場所がとれないので、休憩用に使われるだけでなく、体操や球技などの場所として使われることも多い。傾斜のある屋根に水平な台をつくる例には、日本では江戸時代の武家屋敷町屋の棟(むね)の上につくられた火の見用の台、町屋の物干しや夕涼みの台などがある。

平井 聖]

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