改訂新版 世界大百科事典 「ビリングッチョ」の意味・わかりやすい解説
ビリングッチョ
Vannoccio Biringuccio
生没年:1480-1539ころ
イタリアの冶金技術者。シエナで生まれる。父親は建築家であったと伝えられる。ドイツ,イタリアの各地を旅行していろいろな技術,とりわけ冶金に関する知識を身につけ,ベネチア,フィレンツェ,ローマなどで,造兵・鋳造の指揮をとる。
ビリングッチョの唯一の著書といわれている《火工術Pirotechnia》は,アグリコラの《デ・レ・メタリカ》とならんで16世紀を代表する冶金術書である。全10巻から成り,鉱石を熔解して金属を取り出す方法から始まり,金と銀の分離の方法,合金,青銅の鋳造法(大砲の鋳造法について詳細に記述されており,その後の軍事技術に大きな影響を与えた),造幣術,活字鋳造,めっき,火薬と火器など広範な内容を含んでいる。この《火工術》は,ビリングッチョの死後,1540年に刊行された。
執筆者:雀部 晶
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報