改訂新版 世界大百科事典 「ピンカートン」の意味・わかりやすい解説
ピンカートン
Allan Pinkerton
生没年:1819-84
アメリカの私立探偵。スコットランドのグラスゴーに生まれ,1842年アメリカへ移住。シカゴの近くで,桶・樽製造に従事していたが,偶然にせ札作りの一味を捕らえ,保安官の仕事に関係するに至った。50年には,シカゴ警察の探偵となり,同時に私立探偵事務所(Pinkerton National Detective Agency)を設立。これはアメリカで最初のものといわれる。おもに列車強盗に関する事件を手がけたが,そのつながりで,リンカン大統領暗殺計画を知り,その命を救ったこともある。南北戦争(1861-65)が起こると,北軍の諜報部を指揮し,アレン少佐の偽名でスパイ活動を行った。戦後,ニューヨークやフィラデルフィアにも支所を設け,探偵事務を行なったが,やがて労働組合運動弾圧のため,会社側の手先としてストライキ破りなどを行い,世の指弾をあびた。ピンカートンには何冊もの回想録があり,探偵実話として広く読まれた。
執筆者:岡田 泰男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報