ファウストゥス博士(読み)ふぁうすとぅすはかせ(その他表記)Doktor Faustus

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファウストゥス博士」の意味・わかりやすい解説

ファウストゥス博士
ふぁうすとぅすはかせ
Doktor Faustus

ドイツの作家トーマスマンの伝記体の長編小説。「一友人によって物語られたドイツの作曲家アードリアーン・レーバーキューンの生涯」という副題をもつ。1947年刊。天才的な作曲家である主人公は、意識的に梅毒に感染し、病気の進行につれて断続的に現れる高揚状態を利用して、創作の行き詰まりを打開しようとする。この筋立ては、超能力と引き換えに24年後には悪魔に魂を譲り渡す契約を結ぶというファウスト伝説の20世紀版であるが、小説の背後には現代芸術の危機、またナチズムという怪物を生み出した祖国ドイツの精神的基盤との、作者の深刻な対決がある。

[片山良展]

『円子修平訳『ファウストゥス博士』(『新潮世界文学35 トーマス・マンⅢ』1971・新潮社)』

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