日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファーフィ」の意味・わかりやすい解説
ファーフィ
ふぁーふぃ
Joseph Furphy
(1843―1912)
オーストラリアの小説家。ビクトリア州ヤラ・グレン生まれ。アイルランド移民の子。奥地で学校がなく、母から聖書とシェークスピア劇の2書だけを教材に学んだが、7歳でよく暗記できたという。開拓、牛荷車運送、鍛冶(かじ)仕事など、職業も住所も転々とかわった。この間『ブリティン』誌にトム・コリンズTom Collinsの筆名で短評や詩を寄稿した。その縁で1897年、独創的な古典名作といわれる『これが人生というもの』(1903)をアーチボルト編集長に託す。1125ページに及ぶ大作のため、『リグビイのロマンス』(新聞連載1905、1946刊)、『琴鳥(ことどり)とゴウシュウヅル』(1948)との3部に分けて発表された。オーストラリア人気質を描いて、「ブッシュマン半分・本の虫半分」と自己評価した作者ならではの作品と評価された。ほかに『ジョセフ・ファーフィの詩集』(1916)もある。
[平松幹夫・古宇田敦子]