日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィリップス石油」の意味・わかりやすい解説
フィリップス石油
ふぃりっぷすせきゆ
Phillips Petroleum Co.
アメリカの大手石油化学会社。1917年にオクラホマ州北部のバートルズビルBartlesvilleにフィリップス一族によって設立された。アメリカ中西部やテキサス州を中心に石油事業・天然ガス事業を展開。第二次世界大戦後は積極的に海外進出を果たし、とくに北海油田の開発に大きな成果を収めた。ガソリンのブランド名は「フィリップス66」。
企業活動部門は世界的な規模での石油・天然ガスの探査から販売まで一貫して手がけ、石油化学製品も扱う。2001年時点で18か国に探査油田をもち、アメリカ、ノルウェーとイギリスの北海油田、ナイジェリア、カナダ、中国沖合いなどで石油生産を行った。平均日産量は原油56万3000バレル、天然ガス3794万立方メートル。精製・輸送・販売の下流部門では、2001年9月に独立系石油会社最大手のトスコTosco Corp.を買収して規模を拡大、国内に10の石油精製施設(日量170万バレル)、46州に1万2000のサービス・ステーションをもち、下流部門に強いトスコを傘下に収めることで、国際メジャーに対抗する総合石油会社として生き残りを図った。
石油化学部門は天然ガス・石油を使用して、石油化学製品・プラスチック製品を製造する。2000年にはシェブロンの石油化学事業と統合した合弁会社シェブロン・フィリップス・ケミカルを折半出資で設立、ポリオレフィン事業などを中心にした世界最大級の石油化学会社となった。フィリップス石油の2001年の売上高は268億6800万ドル、純利益16億6100万ドル。
1990年代末から国際的な石油会社の再編が加速するなかで、フィリップス石油は将来の開発投資に備え、2001年11月アメリカの石油大手コノコConoco Inc.との対等合併に合意、2002年8月に新会社コノコフィリップスConocoPhillipsが発足した。
[萩原伸次郎]
その後の動き
コノコフィリップスは、2006年にアメリカの天然ガス会社バーリントン・リソース社Burlington Resourcesを356億ドルで買収し、北米最大の天然ガス生産者となった。2008年の売上高は2461億8200万ドル、純利益169億9800万ドル。
[編集部]