日本大百科全書(ニッポニカ) 「フウリュウウオ」の意味・わかりやすい解説
フウリュウウオ
ふうりゅううお / 風流魚
batfish
硬骨魚綱アンコウ目アカグツ科Ogcocephalidaeのうち、頭部が三角形である種類の総称、およびそのなかの1種。西太平洋からインド洋に分布し、200メートル以深の深海に生息する。この類は頭は広くて三角状、尾部が細い。体は背側面に骨質の棘(とげ)やこぶ状物が密にある。小さな鰓孔(さいこう)が胸びれ基底の背方に開く。体の背面は黄褐色、種類により黒褐色の輪紋または斑点(はんてん)が散在することがある。全長10センチメートル前後。日本では太平洋側の中部から南部に分布し、8種が生息している。そのうち、和名フウリュウウオMalthopsis kobayashiiは、南日本の太平洋、日本海の香住(かすみ)地区と隠岐(おき)諸島、東シナ海、フィリピン、アンダマン諸島海域などに分布する。体の腹面に粗雑な小骨板が散在すること、黒褐色の輪紋があること、前鰓蓋骨棘(ぜんさいがいこつきょく)に前向棘がないことなどで、ほかの種類と区別される。水深200~730メートルにすみ、底引網でまれに漁獲される。食料として利用しない。
[落合 明・尼岡邦夫]