フクロワムシ(読み)ふくろわむし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フクロワムシ」の意味・わかりやすい解説

フクロワムシ
ふくろわむし / 袋輪虫

袋形(たいけい)動物門輪毛虫綱フクロワムシ目Asplanchnoidaの総称。狭義にはフクロワムシ属Asplanchnaの総称、またはそのなかの1種。この類は、外形は透明な袋状、腸と肛門(こうもん)を欠き、卵胎生。卵黄腺(せん)と火焔(かえん)球茎の数、そしゃく器の型などによりアスプランクナAsplanchnaとアスプランクネラAsplanchnellaの2亜属に区別され、前者は貧栄養水域、後者は富栄養水域に多産する。脚腺の有無、そしゃく器の形状、卵黄腺の核数などにより前者には6種、後者には4種が区別されている。

 和名フクロワムシAsplanchna priodontaは、世界各地の湖沼に生息し、体長1.5ミリメートル未満。白樺(しらかば)湖には亜種が生息する。

[鈴木 實]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「フクロワムシ」の意味・わかりやすい解説

フクロワムシ (袋輪虫)
Asplanchna priodonta

フクロワムシ科の輪形動物。世界中に広く分布し,日本各地の湖ではごくふつうに見いだされ,小さな池や沼でもしばしば出現し,浮遊生活する。体は袋状で足がなく,体長1~1.5mm。体型季節によって変異が見られる。体が透明なために内臓筋肉のようす,また母虫の体内で孵化(ふか)した幼虫がよくわかる。そしゃく板はあるが,腸や肛門はない。そしゃく板は分類する際の形質として用いられている。
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