フッ化窒素(読み)フッカチッソ

化学辞典 第2版 「フッ化窒素」の解説

フッ化窒素
フッカチッソ
nitrogen fluoride

】三フッ化窒素(nitrogen trifluoride):NF3(71.00).フッ化窒素(Ⅲ)ともいう.フッ化水素アンモニウムNH4HF2を溶融電解するか,アンモニアとフッ素とをCu触媒下で反応させると得られる.無色気体.三方両すい型分子.密度1.93 g cm-3(液体).F-N約1.37 Å.∠F-N-F約102°.融点-206.6 ℃,沸点-129.0 ℃.室温では安定である.高温では各種の金属や非金属と反応してフッ素化する.水に難溶.酸性・中性水溶液では反応は遅いが,アルカリ性水溶液または加熱すると,加水分解して亜硝酸塩とフッ化物になる.エッチング,高エネルギー燃料用酸化剤などに用いられる.有毒.[CAS 7783-54-21]【】二フッ化二窒素(dinitrogen difluoride):N2F2(66.01).-80 ℃ でフッ化カリウムとジフルオロアミンNHF2の付加物をつくり,これを加温反応させると得られる.F-N-N-F型構造.シス形とトランス形がある.いずれも気体.シス形;F-N約1.38 Å,N-N約1.21 Å.∠F-N-N約114°.融点-195 ℃ 以下,沸点-105.7 ℃.トランス形;F-N約1.40 Å,N-N約1.23 Å.∠F-N-N約106°.融点-172 ℃,沸点-111.4 ℃.[CAS 18312-43-6:シス形][CAS 10578-16-2:トランス形]【】四フッ化二窒素(dinitrogen tetrafluoride):N2F4(104.01).NF3還元(Cと加熱)すると得られる.無色の気体.F2N-NF2型構造.密度約1.5 g cm-3(-100 ℃).N-F約1.37 Å,N-N約1.49 Å.∠F-N-F約103°.両方のF-N-F面間の二面角64°.融点-164.5 ℃,沸点-73 ℃.F2N-ラジカル(折れ線形)を生成しやすく,F2N-を付加する反応を起こす.[CAS 10036-47-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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