改訂新版 世界大百科事典 「フランソアドサール」の意味・わかりやすい解説
フランソア・ド・サール
François de Sales
生没年:1567-1622
17世紀フランスの人文主義的信心思想に大きな影響を与えた霊的指導者。ラテン語読みでサレジオSalesioともいう。サボアのサール城に生まれ,1582-88年パリで法学と神学を学び,自分が地獄に預定されているのではないかと悩む。〈よし地獄に落ちるとしても,せめてこの世では神を愛そう〉と捨身の心境になったとき救われ,聖母像の前での宗教体験で安心を得る。91年パドバで法学博士号取得。94年父の反対を振り切って司祭となり,カルバン派の強いシャブレ(ジュネーブ湖南岸)地方をカトリックに戻す。1602年アンヌシーに中心を置くジュネーブ司教となり,04年以降シャンタルの霊的指導にも尽力し,10年彼女とともに〈マリアの訪問修道女会〉を創立。のち人文主義研究のため,アンヌシーにフロリモンタナ学院も創立した。主著《神愛論》《信心生活入門》のほか,約2000の書簡があり,1665年列聖された。
執筆者:青山 玄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報