仏教で,身を捨てて他の生物を救い,仏に供養する布施行の一つ。捨身の方法は焚身,入水(経典に証例なく,日本にとくに多い),投身,断食,頸縊,自害などがあった。薬王菩薩の焼身(《法華経》),薩埵(さつた)太子の捨身飼虎(《金光明経》),雪山(せつせん)童子の捨身羅刹(らせつ)(北本《涅槃経》)は著名。月兎はウサギの焚身であることが《今昔物語集》にみえている。捨身行は日本では奈良時代に僧尼令で禁じていたが10世紀末から盛んになった。日本では各種の往生伝に往生浄土行として実例が示されている。捨身往生の場としては京都の阿弥陀峰,鳥辺野,船岡山,鴨川や桂川,四天王寺や熊野の海(補陀落(ふだらく)渡海とも関連)が著名である。しかし,13世紀ころから捨身往生は外道視されはじめ,念仏往生が往生正因と考えられるようになる。一方,代受苦行としての捨身は修験の世界に残り,1884年林実利(じつかが)行者は熊野那智大滝から大峰修験道復興を祈念し投身した。
中国でも南朝以後これを実践する僧侶があらわれたが,在家の信者のあいだでは一時的に世俗の地位を捨てて三宝(さんぼう)の奴(やつこ)となることを捨身とよび,その身をうけだすことを名目として財物が寺院に寄進された。
執筆者:梅谷 繁樹+吉川 忠夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
仏や仏の教えに対して身体をなげうって供養(くよう)したり、他の生き物を救うために自己の身を布施(ふせ)する修行。亡身(もうじん)、焼身(しょうしん)ともいう。仏教では、捨身は菩薩(ぼさつ)修行中のもっとも困難なものとされ、禁じられている自殺と厳密に区別されている。経典のなかではジャータカ(仏の本生譚(ほんじょうたん))として説かれていることが多い。たとえば『賢愚経(けんぐきょう)』などにみえる、鳩(はと)の命を救うためにわが身の肉を切り与えた尸毘王(しびおう)の物語や、大乗の『涅槃経(ねはんぎょう)』中の、帝釈(たいしゃく)の化身(けしん)である鬼が唱えた「諸行無常(しょぎょうむじょう)、是生滅法(ぜしょうめっぽう)」の後半の句を知るために、その鬼にわが身を与えた捨身羅刹(しゃしんらせつ)の物語などである。『金光明経(こんこうみょうきょう)』には薩埵(さった)太子が飢えたトラに身を投げ出して無上の涅槃を求めた捨身飼虎(しゃしんしこ)の話が、『法華経(ほけきょう)』には薬王(やくおう)菩薩が仏や舎利(しゃり)に対して自らの身体を焼いて供養した焼身供養が説かれているが、中国では法華(ほっけ)信仰の隆盛とともにこれにちなんで実際に焼身の例がみられた。また、わが国でも鎌倉時代に浄土信仰が盛んになると、焼身や入水(じゅすい)などが行われるに至った。
[藤井教公]
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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[1973~ ]プロ野球選手。愛知の生まれ。本名、鈴木一朗。平成3年(1991)オリックスに入団。平成6年(1994)、当時のプロ野球新記録となる1シーズン210安打を放ち首位打者となる。平成13年(...
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