フリー(無料)ビジネスの一つ。無料のサービスを多数のユーザーに提供し、高機能または追加された特別な有償サービスによって収益を得るビジネスモデル。とりわけウェブ上では、95%が無料ユーザーであっても5%の有料ユーザーがいればビジネスは成立することから、「5%ルール」を基本としている。
古くからあるマーケティング手法の一つだが、従来のアナログ商品とは根本的に異なる。例えば、化粧品や食料品などは一定の製造コストがかかるため、試供品を無料で配布すると、その数に比例して提供コストも増える。しかし、デジタルコンテンツでは、基本サービスさえ完成すれば、その提供コストはゼロに近くて済む。そのためフリーミアムでは、有料ユーザーの比率を高めることよりも、まずは裾野を拡大することが求められる。無料のサービス利用者を増やせば、有料サービスに移る絶対数も増えるという戦略である。
なお、「freemium」は「free」(無料)と「premium」(割増金)を合わせた造語。2006年、米国のベンチャー投資家フレッド・ウィルソンがジャリド・ルーキンの発案をもとに提唱し、09年7月に米国で出版されたクリス・アンダーソン著『Free: The Future of a Radical Price』のヒットで注目されるようになった。同年11月には、日本でも『フリー <無料>からお金を生み出す新戦略』(NHK出版)の書名で出され、ベストセラーになっている。著者のクリス・アンダーソンは米『ワイヤード』誌の編集長。「ロングテール」の提唱者としても知られる。