海上運賃(読み)かいじょううんちん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「海上運賃」の意味・わかりやすい解説

海上運賃
かいじょううんちん

旅客貨物の海上輸送に対する価格。船賃(ふなちん)ともいう。旅客運賃は、その輸送がおおむね定期旅客航路事業であるため政策的に決定され、国土交通大臣の認可を必要とする「認可運賃」として公示される。貨物運賃は、定期船運賃と不定期船運賃に分かれ、計算単位の運賃建てには個数建て、重量建て、容積建て、従価建ておよび割増しがある。定期船においては海運同盟が結成されており、賃率表を協定しあっている。この賃率表は公示しなければならない。定期船運賃は貨物の運賃負担力で決定されるカルテル運賃である。不定期船運賃は自由契約運賃であって、海運用役の生産費を基礎にして、海運市況の変動に応じて決定される。それに従い、市況どおりのスポット運賃、投機的な先物運賃や連続航海運賃、市況より安値の長期運賃(タンカー運賃はそれが多い)がある。海上運賃は、船内荷役(にやく)費の負担の違いにより、船主負担のバース・タームberth term、荷主負担のFIO(free in and out)、揚げ地のみ船主負担のFI(free in)、積み地のみ船主負担のFO(free out)がある。定期船ではバース・ターム、不定期船ではFIOが主として用いられる。海上運賃の原価は、運航費(燃料費、荷役費、港費、代理店費など)、直接船費(船員費、修繕費、船用品費、潤滑油費、店費など)、間接船費(減価償却費金利、船舶保険料、固定資産税など)で構成され、燃料費、荷役費、船員費、減価償却費、金利が主要項目である。

[篠原陽一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android