商品受渡条件(読み)しょうひんうけわたしじょうけん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

商品の売買契約で定められる売買条件のうち、売り手がいかなる方法、場所、価格、時期などで売買目的物を買い手に引き渡すかを定めた部分。売買が成立すると売り手は売買目的物を引き渡す義務を負うが、その義務を履行する方法は、売買の態様によってさまざまである。受渡しとは、売り手が売買目的物を買い手の占有下に置くことをいう。小売りなどの店頭売買では物を授受した瞬間にそれが完了するが、貿易を典型とする隔地間の取引では、受渡しは時間を要する複雑な手続を要するため、売買契約のなかであらかじめ明確に定めておく必要がある。なぜなら、物の占有の移転は、他に特約のない限り所有の移転を意味し、危険負担の責任も移転するなど、経済的利害に大きく影響を与えるからである。まず受渡し場所は、特約がなければ売買目的物の所在地、具体的には売り手の営業所になる。特約の例としては、発送駅での貨車渡し、到着駅での着駅レール渡し、船積み港での本船渡し(FOB)、陸揚げ港での埠頭(ふとう)渡しex dock、買い手指定場所への持込み渡しなどがある。これとの関連で運賃、保険料などの負担区分が定まり、取引価格が決められる。
 例としては、現場渡し値段loco price、倉庫渡し値段ex warehouse price、貨車渡し値段free on rail (FOR) price、船側渡し値段free alongside ship (FAS) price、本船渡し値段free on board (FOB) price、運賃込み値段cost and freight (C&F) price、運賃保険料込み値段cost, insurance and freight (CIF) price、陸揚げ渡し値段landed terms、諸掛込み値段free on chargesなどがある。
 引渡し時期の例としては、即時渡し、商慣習で認められた若干日後の近日渡し、何月何日のような確定日渡しなどがある。受渡し条件として重要なことは、特約がなくても商慣習として確立された定例的しきたりに従わねばならないことである。たとえば、運送中の減量(目減り)を見込んであらかじめ増量する入目(いれめ)などである。受渡し条件に違反すると賠償要求(クレーム)の対象となる。[森本三男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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