日本大百科全書(ニッポニカ) 「ふるさとテレワーク」の意味・わかりやすい解説
ふるさとテレワーク
ふるさとてれわーく
都市部に拠点を置く企業が機能の一部を地方に移し、ICT(情報通信技術)基盤を活用することによって、従業員が移転先や委託先で都市部にいるのと同じような働き方を行うこと。地方にあるサテライトオフィスやテレワークセンター、在宅などで働くことを前提として、都市部の人材を地方へ長期派遣したり、UターンやIターンを促したり、あるいは地方の人材を新たに活用することを目的としている。ふるさとテレワークでは、四つの事業モデルが想定されている。(1)都市部の企業が、地方に設置したオフィスに社員を派遣・移住させ、これまでどおりの機能の一部をテレワークで担う。(2)子育てや親の介護などのため、社員が地方への移住を希望するとき、テレワークで勤務を継続する。(3)クラウドソーシングなどのICT基盤を活用することにより、地方で企業や自営業者が都市部の仕事を請け負う。(4)都心部の企業が、テレワークで働くことを前提に、地方で新たな人材を採用する。
これまで一般に定着しているテレワークは、週1日か2日程度サテライトオフィスや自宅などで働くことを主体とした、限定的な雇用型テレワークが中心であったが、総務省は東京への一極集中を是正し、地方移住を促進することで地方創生につなげるため、ふるさとテレワークを推進している。2015年(平成27)からは、都市部の企業が機能を地方へ移転することで、社員や派遣社員の移住を促進する実証実験を全国15か所で開始した。総務省ではこの実証事業により、およそ1000人が都市部から地方へ移住すると見込んでおり、地方創生の具体的な成功例にしたい考えである。
[編集部 2016年6月20日]