地方創生(読み)ちほうそうせい

日本大百科全書(ニッポニカ)「地方創生」の解説

地方創生
ちほうそうせい

人口減、東京一極集中、都市と地方の経済格差に歯止めをかけ、地方を活性化すること。2014年(平成26)に民間研究機関・日本創成会議が、人口減で全国896の自治体が消滅危機にあると提言したのを受け、第二次安倍晋三(あべしんぞう)政権が主要政策として打ち出した。同年、政府は地方創生に取り組む「まち・ひと・しごと創生本部」(本部長は内閣総理大臣)と地方創生担当大臣(初代は石破茂(いしばしげる)(1957― )を設け、地方版総合戦略づくりを促す、まち・ひと・しごと創生法(平成26年法律第136号)と地方創生推進交付金などを交付する改正地域再生法(平成17年法律第24号)の地方創生関連2法を整備。「50年後に1億人程度の人口を維持する」「2024年度までに東京圏への人口流入と流出を均衡させる」などの目標を掲げ、地域ごとの数値目標を検証して効果をはかる仕組みを採用した。なお類似概念に、大分県の「一村一品運動」(1979年提唱)や竹下登政権の「ふるさと創生事業」(1988~1989年)などがあるが、地方創生は全国すべての地域それぞれに総合的戦略をつくるよう促した点に特色がある。

 地方創生策では、人口減・少子化対策として、さまざまな結婚・出産・子育て支援策や移住・定住促進策を講じ、東京一極集中是正の呼び水となるよう、政府機関の地方移転(文化庁の京都、消費者庁の徳島への移転計画など)、地方へ移転する企業への優遇税制、高齢者が地方に移り住み医療・介護のケアを受けられる日本版CCRC構想(Continuing Care Retirement Community)などを打ち出した。地場産業の振興では、特定地域で規制緩和や税制優遇を集中実施する地方創生特区(国家戦略特区の一形態)を創設。農業、医療、教育など規制緩和が容易に進まない「岩盤規制」を崩し、投資や企業を呼び込むよう誘導した。外国人旅行者のインバウンド消費を地方へ波及させるため、広域観光周遊ルートを設定し、地域観光戦略を立てる日本版DMO(Destination Management/Marketing Organization:観光地域づくり法人)の設置を促した。まちづくりでは、地方の魅力を高める中枢中核都市として全国82市を選定し、人口減に対応した主要公共施設を中心部に集めるコンパクトシティや地域公共交通網の整備のほか、AIやビッグデータを活用し自動走行、キャッシュレス、遠隔医療・教育を実現する「スーパーシティ構想」を推進している。人材面では、地方創生カレッジで人材育成を図り、地方創生コンシェルジュ、地方創生人材支援、地方活性化伝道師などの制度を導入。財政措置として、地方創生推進交付金、まち・ひと・しごと創生事業費(地方財政計画)などで地方創生を後押しし、ふるさと納税制度の充実や企業版ふるさと納税制度を創設、税収の地方への還流を促した。

[矢野 武 2021年2月17日]

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デジタル大辞泉「地方創生」の解説

ちほう‐そうせい〔チハウサウセイ〕【地方創生】

第二次安倍政権が平成26年(2014)9月に示した、人口減少と地方の衰退の問題に一体的に推進する政策。各地方公共団体が独自の施策を立案、事業を推進し、国が情報・人材・財政面から支援する。→地方創生法

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