改訂新版 世界大百科事典 「フロログルシン」の意味・わかりやすい解説
フロログルシン
phloroglucin
1,3,5-トリヒドロキシベンゼンにあたる。フロログルシノールphloroglucinolともいう。無色結晶。水から再結晶すると2分子の結晶水を含むが,110℃で無水和物になる。融点218℃(無水和物)。甘味を有する。エーテル,ピリジンによく溶け,アルコールに少し溶けるが,水には溶けにくい。塩化鉄(Ⅲ)との反応で紫色を呈し,フェーリング液,金塩,銀塩,白金塩溶液などを還元する。アルカリ性水溶液はピロガロールほど速くないが酸素を吸収する。ケト型としても反応する傾向をもち,たとえばヒドロキシルアミンとの反応ではトリオキシム(1,3,5-シクロヘキサントリオキシム)を生成する。
リグニンやペントースの検出のための呈色反応に用いられる。また骨の石灰質を除くので顕微鏡用標本の作成にも用いられる。
執筆者:岡崎 廉治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報