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塩化鉄 えんかてつiron chloride

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

塩化鉄
えんかてつ
iron chloride

(1) 塩化鉄 (II) ,塩化第一鉄  FeCl2 。自然鉄,隕石,火山の噴出物中に微量含まれ,また乾いた塩化水素中で鉄を赤熱すると生成する。無色または淡緑白色結晶。水,アルコールに易溶。特別の用途はない。融点 670~674℃で昇華性がある。 (2) 塩化鉄 (III) ,塩化第二鉄  FeCl3 。天然にはモリサイトとして産出し,ベズビオ火山噴気孔などで発見されている。暗赤色の結晶。透過光は赤,反射光は緑を呈する。融点 306℃。吸湿性が強い。水,アルコール,エーテル,アセトンに可溶。有機化学反応における酸化剤や触媒,分析試薬などに使われる。 FeCl3・6H2O は黄褐色,塊状,吸湿性で,多少塩化水素臭がある。鉄塩の製造,顔料,インキ,媒染剤に用いられるほか,止血薬,収斂薬として使われる。

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デジタル大辞泉の解説

えんか‐てつ〔エンクワ‐〕【塩化鉄】

塩化鉄(Ⅱ)。乾いた塩化水素の中で鉄を熱すると得られる、白色または淡緑色の鱗片(りんぺん)状結晶。四水和物潮解性のある緑色の結晶。塩化鉄(Ⅲ)の原料や媒染剤に使用。化学式FeCl2 塩化第一鉄。
塩化鉄(Ⅲ)。鉄粉を比較的低温で塩素中で熱して得られる、赤褐色で潮解性のある結晶。六水和物は黄色の結晶。媒染剤・金属腐食剤に使用。化学式FeCl3 塩化第二鉄

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百科事典マイペディアの解説

塩化鉄【えんかてつ】

(1)塩化第一鉄FeCl2。比重2.99(18℃),融点672℃,沸点1023.4℃。淡緑白色鱗片状晶。鉄を塩酸に溶かした酸性溶液から得られる緑色潮解性の結晶は4水和塩。

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世界大百科事典 第2版の解説

えんかてつ【塩化鉄 iron chloride】

鉄(II)塩と鉄(III)塩がよく知られている。
[塩化鉄(II)]
 化学式FeCl2。無水和物と2,4,6水和物が知られているが,市販のものはほぼ4水和物FeCl2・4H2Oに相当する。無水和物は白~淡緑白色の結晶で六方晶系に属し,塩化カドミウム型構造をとる。空気中で湿気を吸い赤褐色になる。4水和物は緑色,潮解性の結晶で単斜晶系に属する。その塩酸溶液を空気中に放置すると塩化鉄(III)に変化する。水やエチルアルコールによく溶け,水溶液から12.3℃以下で6水和物,76.5℃以上で2水和物が析出する。

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大辞林 第三版の解説

えんかてつ【塩化鉄】

塩化鉄(Ⅱ)。無色または淡緑白色鱗片りんぺん状の結晶。化学式 FeCl2 潮解性がある。四水和物は緑色。
塩化鉄(Ⅲ)。鉄粉を塩素中で熱して得る暗赤色の結晶。化学式 FeCl3 酸化剤として用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

塩化鉄
えんかてつ
iron chloride

鉄と塩素の化合物。酸化数+および+の化合物、+と+の両方を含む化合物が知られている。
(1)塩化鉄()(塩化第一鉄) 自然鉄、隕石(いんせき)、火山噴出物などの中に存在する。無水和物のほか、二、四、六水和物などがある。無水和物は乾いた塩化水素中で鉄を赤熱すれば得られる。実験室では、塩化鉄()をクロロベンゼンの環流下で加熱してつくるのが便利である。

 工業的には、鉄くずを濃塩酸に溶解し、その上澄み液を濃縮して塩化鉄()の溶液を得ている。これは液状のまま市販される。無水和物は淡緑白色の結晶で、湿った空気中では分解して緑黄色から赤褐色に変わる。水、エタノール(エチルアルコール)によく溶ける。水溶液から室温で結晶させると、淡緑色、潮解性の四水和物が析出する。水和物は空気中で熱すれば分解して酸化鉄()となる。媒染剤、染料、顔料、調剤などに用いられる。
(2)塩化鉄()(塩化第二鉄) 天然には火山噴出物や隕石の中にみいだされることがある。無水和物のほかに、六水和物など多くの水和物がある。無水和物は、鉄粉を比較的低温で塩素と反応させることによって得られる。六水和物を塩化チオニルで脱水する方法もよく用いられる。
 工業的には、塩化鉄()の溶液を塩素で酸化して塩化鉄()の溶液とする。これを濃縮、放冷すれば水和物結晶が得られる。無水和物は暗赤色の結晶。潮解性があり、水、アルコール、アセトン、エーテルによく溶ける。六水和物は黄褐色の結晶で潮解性が著しい。水によく溶け、加水分解して強酸性を示し、タンパク凝固作用があるので止血剤に用いられる。そのほかに金属板腐食液(ネームプレート、写真製版、プリント配線、目盛板)、凝集沈殿剤、媒染剤などに用いられる。無水和物には有機化学反応における酸化剤、縮合剤、塩素の逓伝(ていでん)体などの用途がある。[鳥居泰男]

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