改訂新版 世界大百科事典 「ブラックコード」の意味・わかりやすい解説
ブラック・コード
Black Code
南北戦争後のアメリカで制定された黒人規制法。旧アメリカ南部連合諸州において,奴隷解放後の混乱への南部側の対応として,解放奴隷の社会的地位を策定すべく1865年から66年にかけて制定された。規制の内容は多様であるが,浮浪者取締法や徒弟法によって黒人を旧主人のもとでの労働に縛りつけ,移動の自由や職業選択の自由を規制し,投票権を与えず,法廷での証言や財産の所有権に厳しい制限を課した。また白人との通婚は厳しく禁じられた。黒人人口が白人人口を大きく上回るミシシッピやサウス・カロライナのコードは規制の厳しさで際立っていたが,どの州のコードも解放後の黒人の社会的地位を旧奴隷のそれにできるだけ近いものにすることをねらっていたことでは共通していた。法的には66年4月の公民権法で,政治的には67年以降南部各州において展開された急進的再建政策によって廃止された。
→南部再建
執筆者:長田 豊臣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報