法廷(読み)ホウテイ

デジタル大辞泉 「法廷」の意味・読み・例文・類語

ほう‐てい〔ハフ‐〕【法廷】

裁判の行われる場所。ふつう、裁判所またはその支部にある。

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精選版 日本国語大辞典 「法廷」の意味・読み・例文・類語

ほう‐ていハフ‥【法廷・法庭】

  1. 〘 名詞 〙 裁判所が審理・裁判を行なう場所。単に地理的な場所や建物部屋などをさすだけでなく、審理・裁判を行なう機構が備わっている状態を含めていうこともある。
    1. [初出の実例]「遂に其身は法庭に引出され」(出典:朝野新聞‐明治八年(1875)八月二八日)
    2. [その他の文献]〔柳宗元‐文宣王新修廟碑〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「法廷」の意味・わかりやすい解説

法廷
ほうてい

一般的に裁判所が訴訟手続の審理および裁判をする場所をいう。裁判(判決、命令、決定など)を下すため事件を審理するには、当事者その他の関係人の口頭による陳述を聞くことによって行われるのが原則である。とくに訴訟における対審は、当事者を対席させて審尋するのであり、原則として公開の法廷で行わなければならない(憲法82条、裁判所法70条)。法廷における秩序の維持は、裁判長または開廷した1人の裁判官が行うことになっている。もし法廷における裁判所の職務の執行を妨げたり、不当な行状をする者があれば、裁判長または開廷した1人の裁判官は、その者に退廷を命じたり、秩序を維持するのに必要な事項を命じ、または処置をとることができる(裁判所法71条)。これらの命令に違反して裁判所の職務を妨げた者は、審判妨害罪として1年以下の懲役もしくは禁錮または1000円以下の罰金に処せられる(同法73条)。

 法廷は、その裁判所または支部で開かれる。ただし最高裁判所は、必要と認めるときは、他の場所で法廷を開き、またはその指定する他の場所で下級裁判所に法廷を開かせることができる(同法69条)。最高裁判所には、大法廷小法廷がある。大法廷は全員の裁判官の、小法廷は最高裁判所の定める員数の裁判官の合議体とする。ただし、小法廷の裁判官の員数は、3人以上でなければならない。そして各合議体では、最高裁判所の定める員数の裁判官が出席すれば、審理および裁判をすることができる(同法9条)。最高裁判所裁判事務処理規則によれば、小法廷の裁判官の数は5人とし、3人以上が出席すれば審判をすることができる。その裁判長は各小法廷で定めるが、長官が出席するときは長官を裁判長とする。大法廷では9人以上の裁判官が出席すれば審判をすることができ、長官が裁判長となる。

 事件を大法廷あるいは小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。ただし次の各場合には、小法廷では裁判することができない(裁判所法10条)。

(1)当事者の主張に基づいて、法律、命令、規則または処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則または処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く)。

(2)(1)の場合を除いて、法律、命令、規則または処分が憲法に適合しないと認めるとき。

(3)憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。

 なお、違憲の裁判をするには8人以上の裁判官の意見の一致を必要とする。違憲の裁判をしたときは、その要旨官報に公告し、かつその裁判書の正本を内閣に送付する。法律を違憲とする裁判のときは、正本を国会にも送付することとされている。

[内田武吉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「法廷」の意味・わかりやすい解説

法廷
ほうてい

裁判官裁判を行うところをいい,裁判所またはその支部で開かれるのを原則とする。ただ最高裁判所は,必要と認めるときは他の場所で法廷を開き,またはその指定する他の場所で下級裁判所に法廷を開かせることができることになっている (裁判所法 69) 。法廷は原則として公開される (憲法 82) 。なお最高裁判所の大法廷という場合は裁判官全員 (15名) ,小法廷という場合は3名以上の裁判官 (現在は最高5名) の合議体を意味する。

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百科事典マイペディア 「法廷」の意味・わかりやすい解説

法廷【ほうてい】

訴訟事件について裁判官が審理裁判を行う場所。裁判所で開かれるのが通常であるが,他の場所で開かれることもある。法廷は原則として公開され(憲法82条),国民は自由に傍聴することができる。裁判長(1人制のときはその裁判官)は,法廷の秩序維持のための法廷警察権をもつ。→法廷秩序維持法法廷侮辱罪

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普及版 字通 「法廷」の読み・字形・画数・意味

【法廷】ほうてい

裁判の場。

字通「法」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の法廷の言及

【庭中】より

…庭の意から転じて法廷,さらに特定の手続または内容の訴訟をいう。鎌倉末・南北朝期,朝廷の記録所や院の文殿(ふどの)に庭中と呼ぶ訴訟手続があり,暦応雑訴法の規定では,手続の過誤の救済を求めるものと思われる。…

※「法廷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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