改訂新版 世界大百科事典 「ブリハッジャータカ」の意味・わかりやすい解説
ブリハッ・ジャータカ
Bṛhaj-jātaka
6世紀にバラーハミヒラVarāhamihiraが著したインドの占星術書。インドの占いの三大分野の一つ〈ジャータカ〉に属し,現在にいたるまでこの分野で最もよく読まれ,権威あるものとされている。〈ジャータカ〉とは誕生日に関する占いという意味であり,ヘレニズム起源のホロスコープ占星術を主として扱う。この分野の文献として最も古いのは《ヤバナ・ジャータカYavana-jātaka》で2世紀にギリシア語からサンスクリットに翻訳された。バラーハミヒラの〈ジャータカ〉もこのギリシア系の書物に多くを負っており,占いの基本的手法はプトレマイオスやマニリウスのそれとあまり異ならない。ギリシア語からの借用語が多く見いだされ,文化交渉史の点でも興味深い書物である。
→占星術
執筆者:矢野 道雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報