日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルレ」の意味・わかりやすい解説
ブルレ
ぶるれ
Gisèle Jeanne Marie Noémie Brelet
(1915―1973)
フランスの音楽美学者、女流ピアニスト。ナント音楽院でピアノを学び、10歳で一等賞を獲得。引き続きパリ音楽院でピアノを、そして1938~41年パリ大学で哲学を学ぶ。音楽における時間の問題の研究に関心を寄せ、『音楽創造の美学』(1947)で作曲における音楽的時間を論じ、それをさらに『音楽的時間論』(1949)で展開し国家博士号を取得した。この主著においておもにベルクソンとルイ・ラベルの影響を受けつつ、外なる哲学を音楽に適用するのではなく、音楽を音楽そのものによって説明する哲学を提唱し、音楽の全体を音楽的時間においてみいだした。さらに、それを『創造的解釈』(1951)で演奏の場面に展開している。演奏家としては、52年フランス国立放送の独奏ピアニストとなり、とりわけ現代の作曲家の作品の初演を手がけ、その紹介に努めた。
[笹川隆司]
『ブルレ著、海老沢敏・笹淵恭子訳『音楽創造の美学』(1969・音楽之友社)』▽『海老沢敏著『音楽の思想』(1972・音楽之友社)』