日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルーンス」の意味・わかりやすい解説
ブルーンス
ぶるーんす
Nikolaus Bruhns
(1665―1697)
ドイツ・バロックの作曲家、オルガン奏者、バイオリン奏者。シュレスウィヒ・ホルシュタイン地方の音楽一家の出身。父のパウル(1640―89)もトゥンダー門下のオルガン奏者だった。ニコラウスは11月か12月に、フーズム近郊のシュワープシュテットに生まれている。1681年リューベックに出された彼は、ナタナエル・シュニッテルバッハにバイオリンとビオラ・ダ・ガンバを、また聖マリア教会オルガン奏者として高名のブクステフーデに作曲とオルガンを学び、才能を認められた。コペンハーゲンでの活躍ののち、89年にはフーズム市教会オルガン奏者に就任し、97年3月29日、わずか31歳で没するまで終生そこで活躍した。作曲家・音楽理論家のマッテゾンは、上声部はバイオリン、下声部はオルガンの足鍵盤(けんばん)で演奏した、というブルーンスの名人芸ぶりをその著作のなかに伝えている。
[樋口隆一]