家庭医学館 の解説
ぶーぬびゆぷりんぐるぼはんしょう【ブーヌビユ・プリングル母斑症 Bourneville-Pringle Disease】
結節性硬化症(けっせつせいこうかしょう)とも呼ばれます。血管結合織(けつごうしき)(血管をつくっている細胞組織)の変化が、脳、網膜(もうまく)、腎臓(じんぞう)、肺、心臓、肝臓、膵臓(すいぞう)、骨、そして皮膚まで、すなわち神経・循環・呼吸・代謝(たいしゃ)などの機能をになう臓器のほとんどすべてにおいてみられるため、母斑症と呼ばれています。
顔面では鼻のまわりにぶつぶつとした丘疹(きゅうしん)がたくさんできます。この丘疹は出生時すでにできていたり、出生直後にできたりします。からだや四肢(しし)には扁平(へんぺい)に盛り上がったややかたい凹凸のある病変や色が薄く白く見える斑ができ、爪(つめ)のまわりや歯肉(しにく)には結節(けっせつ)(盛り上がった発疹(ほっしん))ができます。
もっとも重大なのは、中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい)の症状で、けいれん発作(ほっさ)と知能発育障害です。視野が狭くなって眼底に変化が現われ、視力の低下や失明(しつめい)にいたることもあります。腎臓には腎腫瘤(じんしゅりゅう)、腎嚢腫(じんのうしゅ)、水腎症(すいじんしょう)などの形態異常がみられ、血尿(けつにょう)などの症状があります。
[治療]
中枢神経系、心臓、肺、腎臓などの重要臓器に障害がある場合は、成人前に死亡することが多く、根本的な治療法はありません。しかし、軽症の皮膚病変だけの場合は、対症的、美容的な治療を行ないます。予後がよい場合もあります。
けいれん発作がある場合は、抗けいれん薬を継続して服用しなければなりません。