改訂新版 世界大百科事典 「プラスチック耐火物」の意味・わかりやすい解説
プラスチック耐火物 (プラスチックたいかぶつ)
plastic refractory
打込み施工する耐火物をいう。耐火物を粉砕した骨材に結合剤としての耐火粘土と粘結剤を配合したもので,骨材には種々の耐火物が用いられるが,多くは高アルミナ質,粘土質のものを使用する。水が添加されて練土状になっているので,エアランマーでそのまま打込み施工する。気硬性プラスチック耐火物と熱硬化性プラスチック耐火物の2種類がある。気硬性のものは,常温空気中で硬化し,炉壁として耐えうる強度が発生する。熱硬化性のものは,炉壁に構築後,加熱することによって,初めて炉壁として耐えうる強度が発生するので,大容量の施工には不向きであり,一般に気硬性のものが使用される。この耐火物の特徴は,どこでも簡単に施工でき,施工後,早く使用可能となり,他の不定形耐火物に比較して,耐食性に優れ,耐スポーリング性もよいなど,適応性が大きいことである。なお,大容積のものの施工には,補強材としてアンカータイルを使用し,表面を粗く仕上げ,収縮吸収用の薄い切込みを入れ,最後に,全面に3~4mmの通気孔を壁厚の2/3の深さにあける。乾燥はゆっくり行い,十分脱水させてから昇温する必要がある。
執筆者:西川 泰男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報