高熱に耐え,高温でも溶融しにくい粘土。化学的にはシリカSiO2-アルミナAl2O3系含水化合物を主成分とし,多くは鉱物としてカオリナイトAl2O3・2SiO2・2H2Oを含む。このほかにパイロフィライトAl2O3・4SiO2・H2O,ハロイサイトAl2O3・2SiO2・4H2Oを含むものもあり(パイロフィライトを主とするものを蠟石,または蠟石粘土という),いずれも粘土質耐火物の主要な原料である。日本の耐火粘土には生成年代の古いケツ岩状の硬質粘土と,新しい軟質粘土がある。前者は岩手県と九州の炭鉱地帯などに産出し,硬いために結合粘土として使用されることは少なく,塊状のまま焼成してシャモット(粘土を焼いたものをいう)として,耐火物の原料に利用する。後者の軟質粘土では亜炭片を含有するものを木節粘土(きぶしねんど)といい,粗粒石英を含有するものを蛙目粘土(がえろめねんど)といって,愛知県を中心に三重県,岐阜県などに産出する。蛙目粘土は粗粒石英を除くために水簸(すいひ)し,水簸粘土として使用される。これらの軟質粘土は,水を加えたときの可塑性が大きいので,耐火物を製造する際の結合粘土として最も重要な原料であり,また焼いてシャモットとしても広く使用されている。耐火粘土は,火山岩である長石系岩石の風化により生成した粘土鉱物が流水によって運ばれ,堆積してできた比較的薄い鉱床より主として産出する。耐火度はほぼAl2O3とSiO2の比によって決まり,前者が多いほど高く,また不純物である酸化鉄,アルカリなどの含有量が多くなると下がる。
耐火度を示す尺度であるゼーゲルコーン耐火度(SK)で,SK19~28番(1520~1630℃)のものを低級品,SK29~30番(1650~1670℃)のものを中級品,SK31~35番(1690~1770℃)のものを高級品として一般に扱うが,鉱業法ではSK31番以上の粘土を耐火粘土と定めている。
執筆者:西川 泰男+湊 秀雄
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岩石の風化過程で生じた二次粘土鉱物のうち、長石類などの易風化鉱物に由来したカオリナイトを主成分とする粘土集積物が、第三系以前の固結堆積(たいせき)岩層から硬質粘土として、あるいは第四系の砂礫(されき)層から軟質粘土として採取される。これらは高温に対して耐久性をもっているが、とくに1630℃(耐火度を示す指標SK28)付近から1770℃(SK35)に及ぶものが優れた耐火粘土となり、溶鉱炉、るつぼ、れんがなどの耐火材をつくるときの結合材に用いられる。この耐火性は、アルミナ(Al2O3)、ケイ酸(SiO2)、鉄(Fe2O3)およびマグネシウムやカルシウムの炭酸塩などの順に、その含有率が高いほど優れており、未風化の残留石英砂が多い場合は水中篩別(しべつ)して取り除かれ、粘土粒子のもつ膠着(こうちゃく)性と可塑性が生かされる。日本での産出は、愛知県や岐阜県の第四系の丘陵や台地から採取される蛙目(げえろめ)粘土、木節(きぶし)粘土、茨城県の石炭層に伴う磐城(いわき)粘土、広島県・岡山県・兵庫県の第三系火山岩が熱水変質した蝋石(ろうせき)粘土などが著名である。
[浅海重夫]
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