改訂新版 世界大百科事典 「プラタイアイの戦」の意味・わかりやすい解説
プラタイアイの戦 (プラタイアイのたたかい)
第2回ペルシア戦争において,前479年に戦われた合戦。サラミスの海戦のあとテッサリア地方で越冬したマルドニオス麾下(きか)のペルシア地上軍は,翌春再びアッティカを占領し,スパルタの摂政パウサニアス麾下のギリシア連合軍の出動を促して,これをボイオティア地方の平坦な丘陵地プラタイアイPlataiaiにおびき寄せた。アソポス川を挟んで両軍対峙し,この間,ペルシア軍騎兵隊はギリシア連合軍の給水地,補給路を脅かし,徹底的窮地に追い込んだが,マルドニオスのあせりに乗じてギリシア軍は奇跡的に決定的な勝利を得た。一碑文によれば出陣に臨んでアテナイ兵士は〈生命ある限り戦うも,生きるをもって自由人たるより貴しとはなさず〉と誓った。合戦後,デルフォイの神託に従ってゼウス・エレウテリオス(〈自由神ゼウス〉の意)の祭壇が設けられ,〈自由の祭典(エレウテリア)〉が開催された。ペルシア戦争の総決算とも評しうる合戦であった。
→ペルシア戦争
執筆者:馬場 恵二
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