日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
プラマーナ・バールティカ
ぷらまーなばーるてぃか
Pramāavārttika
法称(ほっしょう)(ダルマキールティ。7世紀)の主著。プラマーナは確実な認識の作具、あるいは確実な認識自体の意で、バールティカは評釈の意。本書は陳那(じんな)(ディグナーガ)の『プラマーナ・サムッチャヤ』への注釈として書かれ始めたが、注釈の域を脱し、法称の自由な理論も展開されている。序章にあたる「知識論」と、「知覚」「推理」「論証」との4章よりなる。ただし法称は「推理」章から書き始めた。全編韻文よりなるが、「推理」章のみには散文による法称の自注がつけられている。仏教の認識論、論理学および哲学の基本的文献である。
[梶山雄一]