プリン体異常

内科学 第10版 「プリン体異常」の解説

プリン体異常(脱髄疾患)

 プリンサルベージ(回収)経路は,アデニンおよびグアニンヒポキサンチンをそれぞれ再利用する2つの経路が知られている.ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシル転移酵素(hypoxanthine-guanine phos­phoribosyltransferase:HPRT)は,ヒポキサンチンとグアニンをGMP(グアニンモノホスフェート)に再利用する酵素である.残存活性がほとんどない場合,Lesch-Nyhan症候群となり,活性がある程度残存するときは原発性痛風となる.HPRT遺伝子は,Xq26-27に座位するため,X連鎖劣性遺伝性であり男子(男性)に発病する.本項では,重篤な中枢神経症状を乳幼児期から呈する疾患として,Lesch-Nyhan症候群を記載する.
Lesch-Nyhan症候群
定義・概念
 1964年,医学生のLeschと指導者のNyhan教授によりはじめて報告され,発見者にちなんでLesch-Nyhan症候群と命名された.1967年にHPRT欠損が証明され,X連鎖性遺伝性の先天性プリン代謝異常症である.
病因
 HPRT遺伝子の変異により,プリン・サルベージ経路の破綻をきたし,高尿酸血症・高尿酸尿を伴う.
神経症状
 乳児期に運動発達の遅延があり,幼児期にアテトーゼ・舞踏病様不随意運動,脳性麻痺知的障害が出現し,さらに強い自傷行為が認められるようになる.自傷行為は,口唇や指を強く噛み,出血損傷瘢痕を繰り返す.高尿酸血症による腎結石や尿路感染および腎障害をみる.B細胞欠陥による易感染傾向がある.高尿酸血症による痛風症状は思春期過ぎからみられるようになる.[青木継稔]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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