化学辞典 第2版 「ヘリックス-コイル転移」の解説
ヘリックス-コイル転移
ヘリックスコイルテンイ
helix-coil transition
タンパク質のαヘリックス,コラーゲンの三重らせん構造,核酸の二重らせん構造など,生体高分子にはヘリックス構造をとるものが少なくない.これらのヘリックス構造は水素結合,あるいは疎水結合などの非共有結合により形成されている.したがって,熱,酸またはアルカリの作用による生体高分子の荷電状態の変化,有機溶媒,あるいは高濃度の尿素溶液などとの接触に伴う疎水結合の破壊などによって構造が破壊され,分子はでたらめな折れ曲がりを生じた,いわゆるコイル状となる.この変化は徐々に起こるのではなく,ある臨界値を境に急激に生じることが多く,ヘリックス-コイル転移と称される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報