ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベッサ・ルイース」の意味・わかりやすい解説
ベッサ・ルイース
Bessa Luís, Agustina
[没]2019.6.3. ポルト
ポルトガルの小説家,短編作家。『閉ざされた世界』Mundo Fechado(1948)で文壇デビューし,最も有名な初期の作品『巫女(みこ)』A Sibila(1954)でエッサ・デ・ケイロース賞(→ケイロース)を受賞。この作品では身体的現実,心理的現実,そして皮肉な現実の境界線が希薄で,登場人物のほとんどは神話的な性質をもって描かれている。ベッサ・ルイースの作品世界では,時間と空間の概念は曖昧であり,出来事の論理的順序といった感覚が薄められつつ,現実の諸様相が一斉にまわりだす。文体は「抽象的」「超心理的」と形容され,マルセル・プルーストやフランツ・カフカの影響がはっきりと認められる。『不治の人々』Os incuráveis(1956),『城壁』A muralha(1957),『驚き』O susto(1958),『マント』O manto(1961),『火の説教』O sermão de fogo(1963),三部作『人間関係』As Relações Humanas(1964~66)など数多くの作品を世に送り,2004年ポルトガルで最も権威のあるカモンイス賞(→カモンイス)を受賞した。いくつかの作品はマノエル・デ・オリベイラ監督によって映画化されている。
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