ベッサ・ルイース(その他表記)Bessa Luís, Agustina

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベッサ・ルイース」の意味・わかりやすい解説

ベッサ・ルイース
Bessa Luís, Agustina

[生]1922.10.15. ビラメアン
[没]2019.6.3. ポルト
ポルトガルの小説家,短編作家。『閉ざされた世界』Mundo Fechado(1948)で文壇デビューし,最も有名な初期の作品『巫女みこ)』A Sibila(1954)でエッサ・デ・ケイロース賞(→ケイロース)を受賞。この作品では身体的現実,心理的現実,そして皮肉な現実の境界線が希薄で,登場人物のほとんどは神話的な性質をもって描かれている。ベッサ・ルイースの作品世界では,時間と空間の概念は曖昧であり,出来事の論理的順序といった感覚が薄められつつ,現実の諸様相が一斉にまわりだす。文体は「抽象的」「超心理的」と形容され,マルセル・プルーストやフランツ・カフカの影響がはっきりと認められる。『不治の人々』Os incuráveis(1956),『城壁』A muralha(1957),『驚き』O susto(1958),『マント』O manto(1961),『火の説教』O sermão de fogo(1963),三部作『人間関係』As Relações Humanas(1964~66)など数多くの作品を世に送り,2004年ポルトガルで最も権威のあるカモンイス賞(→カモンイス)を受賞した。いくつかの作品はマノエル・デ・オリベイラ監督によって映画化されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android