カモンイス(読み)かもんいす(英語表記)Luís Vaz de Camões

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カモンイス」の意味・わかりやすい解説

カモンイス
かもんいす
Luís Vaz de Camões
(1525?―1580)

ポルトガル詩人リスボン生まれ。勉学のため学都コインブラに1542年までいたと信じられている。ドン・ジョアン3世の宮廷に仕えたが、47年北アフリカのセウタへ赴き、ムーア人との戦闘で右目を失明。その後、故国に帰ったが、52年宮廷の一青年を傷つけ捕らえられ、翌年許されてインド、中国に滞留、69年リスボンに帰り、晩年は極度の貧困と病のうちに数奇な生涯を閉じた。彼の名を不朽にしたのは叙事詩『ウス・ルジーアダス』(1572)で、ウェルギリウスペトラルカに比肩する詩聖である。叙情詩ソネットがとくに優れ、複雑で繊細な感情を巧みに表現している。

[濱口乃二雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カモンイス」の意味・わかりやすい解説

カモンイス
Camões, Luís Vaz de

[生]1524.2.5. リスボン
[没]1580.6.10. リスボン
ポルトガルの詩人。コインブラで学んだと伝えられ,ドン・ジョアン3世の宮廷に出入りしたのち,1547年北アフリカのセウタに赴き,ムーア人との戦いで右眼を失う。3年後に帰国し,決闘の罪で1年間獄につながれた間に,バスコ・ダ・ガマ航海を主題に,ポルトガルの歴史的栄光をたたえた叙事詩『ウス・ルジーアダス (ポルトガル人) 』 Os Lusíadasの第1章を書き上げ,1553年ゴアを経てマカオへ向かい,そこでさらに6章を書いた。 1570年リスボンに戻り,1572年に『ウス・ルジーアダス』の初版を出版したが,貧窮と病苦のため悲惨な晩年を送った。

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