岩石学辞典 「ベナール型対流」の解説
ベナール型対流
温度差による熱対流の駆動力とそれに抵抗する力の比率はレイリー数Raで表される.
Ra=ρgd3α(T1-T2)/ηk
ここで,ρ:密度,g:重力加速度,d:層厚,T1:底の温度,T2:上部の温度,η:粘性係数,α:定数,k:定数,である.レイリー数が限界値を超えると層状の液は不安定になり,細かい局所的な対流の集まりとなる.これをベナール細胞といい,ベナール型対流は流体層の下面を一様に加熱し上面を一様に冷却したときに,局部的に上昇流と下降流が生じたもので,対流の起こる水平の範囲は大体マグマ層の全体の厚さの約2倍程度である.底部と頂上部との温度差でレイリー数が決まるので,薄いマグマの層では限界値を超えて対流が局所化しやすい.レイリー数が限界値をちょうど超す程度では四角から六角形のほぼ同じ大きさの細胞が一面に現れるが,レイリー数が増加すると細胞は一列に連なって平行な長い巻物上の構造になり,交互に逆方向に回転する.レイリー数がさらに大きくなると多数の局所的な対流となる.さらにレイリー数が大きくなると対流は不安定になり乱流が発生する[Sparks, et al. : 1984, 久保ほか : 1992, 鈴木 : 1994].