改訂新版 世界大百科事典 「ベニヒラタムシ」の意味・わかりやすい解説
ベニヒラタムシ (紅扁虫)
Cucujus coccinatus
甲虫目ヒラタムシ科の昆虫。扁平な体は赤色の上翅を除いて黒色。体長11~15mm。北海道から九州まで分布し,関東以西では山地に生息する。成虫,幼虫ともに,針葉樹,広葉樹の枯木のはがれ落ちやすくなった樹皮下にすみ,昆虫を捕食する。幼虫は扁平で黄褐色。頭部は胴部よりも幅広く,体の末端は尾突起になっている(樹皮下に生息するアカハネムシ科の幼虫に似るが,尾突起の形態が異なる)。卵から成虫までの期間は環境によって異なるが,2年前後と考えられる。初夏または秋に樹皮下で蛹化(ようか),2~3週間後に成虫となる。Cucujus属はアジア,ヨーロッパ,北アメリカなど,主として北半球に分布する。日本からは3種が記録されているが,いずれも北海道から九州まで分布する。山地に分布するエゾベニヒラタムシC.opacusはベニヒラタムシに似るが上翅に光沢がない。より高地に分布するルリヒラタムシC.mniszechiiは体長約25mmもあり上翅は青監色。
→ヒラタムシ
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報